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元うつ病患者のふり返り日記

うつ病で会社を9ヶ月間休職した後に復職を果たしました。そんな筆者がうつ病や精神医学についてふり返り考察します。完治に至った闘病記もごらんください。http://snailramp.net/depression/

愛すべき勘違い野郎 〜オーバーコンフィデンスバイアス〜

最近いただいたコメントの中でうつ病を治すには身体的な問題を解決するだけでなく、考え方も変えないとうつ病は治らないのではないかという意見をいただきました。

私の場合は鍼治療で不眠や全身の倦怠感などが解消したところ、自然に生きる力が湧いていったという経緯を辿りました。特に考え方を変えたことはありませんでした。精神的な構造改革というのはむしろうつ病が治ってから実践しました。

ですので私としては考え方を変えるのはうつ病が治ってからで良いのではないかと考えています。うつ病にかかっている時に考え方を変えるのは本当にしんどいと思いますし。

しかし私の経験が必ずしも他の人にも当てはまるとは言えません。ですのでうつ病に罹っている時でももし変えられるなら、考え方を変えた方がいいとは思います。

 

そういう前提を踏まえて、自分が実践している思考の指針と言いますか、楽に生きる考え方みたいなものを紹介したいと思います。

 

うつ病にかかる人は真面目なために心配性でいろいろ悲観的に考えすぎると言われています。

たしかに自分はそれに当てはまっていました。仕事では失敗した時のリカバリ策を何重にも考えるようにしていました。人間関係では人から嫌われることを恐れて人が話すときの表情や声のトーン、視線などから自分がどのように思われているか想像していました。また自分は能力が無いから努力すべきだと自分に言い聞かせていました。これらだけでなく自分にとって良くないことが起きるかもしれないという心配を常に抱えていろいろと回避策を考えていました。

 

そのうえ楽観的な人々のことを何も考えていないと思い、馬鹿にしていました。何も心配をせずに勢いだけで仕事をする人や、何の根拠も無く成功を夢見る人、失敗してもヘラヘラしている人、責任を取らずに反省の弁を述べない人たちのことが嫌いでした。

 

ある日情熱大陸という番組でデューク更家が特集されていました。彼のウォーキングのレッスンでは女性たちは「私は女優」と言いながら奇麗に歩く練習をしていました。

それを見た私はなんて自己顕示欲の強い人たちなんだろうと辟易したのを覚えています。

 

しかしいまから思うとこのように事前に回避策を考える事は何の効果もなく、自分を卑下しながら努力をするのは馬鹿げた行為でした。

むしろ自分が馬鹿にしたり嫌ったりしていた人たちの方がよほど合理的で幸せな生活を送っていることに気づきました。

 

うつ病患者というのは高い洞察力を持ち、自分への評価や人間関係を正確に捉えていることが多いそうです。そしてそれゆえ現実と理想のギャップに傷つき、真面目なためにそれを解消しようと努力し、疲れ果てていくのです。

 

私は失敗の可能性を十分に分析できていたのかもしれません。しかし10や20の失敗の可能性があったとして、それぞれに回避策を考えていても、実際に起きる失敗は1つです。他の失敗についての考察は全て無駄になってしまいます。そのうえ大抵の場合、日常に起きる失敗は致命的なものではないのです。失敗してからでも十分に対応が間に合うことが多いです。そして運悪く致命的なことが起きたとしたら、ほとんどの場合、事前に回避策を考えていても避けられないと思います。

無駄な心配は精神的な疲労を重ねることになります。

 

日本ではよく努力を促すのに「お前はぜんぜん下手だから(能力がないから)努力すべきだ。」という言い回しが使われます。

でも「お前はぜんぜん下手だから(能力がないから)」という部分って必要ありません。このように考えても努力の質が上がる訳でもないですし、単純に「xxを成し遂げるために努力するんだ」とか「もっと上に行ってやる」と考えるだけでよいのです。自分を卑下しながら努力を重ねても肝心な時にその積み重ねて来たことを発揮できないです。

 

タモリは司会する番組が長続きすることで有名ですが、そのコツとして「反省しない。」ことを挙げています。これは改善はしていくが自分を傷つけてまで振り返らないと言いたいのだと思っています。

また秋元康は自身がプロデュースした番組が失敗した時でも「自分だからここまでできたんだ。」と思うようにしているそうです。

下を向く事はサルでもできます。しかしそんなことをしても何も得をする事はありません。

 

心理学にオーバーコンフィデンスバイアスという言葉があります。いわゆる自信過剰のことですが、アメリカ人の9割はオーバーコンフィデンスバイアスのマインドを持っているそうです。能力以上のことができると信じている人々は、正確に物事を捉える力を持つ人よりも、土壇場で力を発揮し、幸せな人生を送るそうです。

 

例えばサッカーの本田選手は自信に溢れるコメントでビックマウスと揶揄されることがあります。しかしそうすることで余計な不安を取り除き、自分の潜在能力を引き出せるとわかっているのでしょう。

テニスの錦織選手のコーチであるマイケル・チャンは錦織選手に「コートに入ったら相手のことをお前は邪魔なんだよと思え。そして自分は絶対に勝つと自分に言い聞かせろ。」と言っているそうです。

不安や悲観的な考えというのは抑える努力をしないとどんどん大きくなっていきます。そして失敗の可能性にいちいち対処しようとすると無限の労力を払わねばならないのです。

 

いま私はうつ病を再発させないためには根拠の無い自信をもつ事が大事だと思っています。

そのためいまの私はほとんど無理矢理にでも楽観的な考え方を持つようにし、実践しています。もう人の表情を観察することはありません。人が自分のことを嫌いかどうかもほとんど気にしていません。いまは会社でまずい立場に立たされていますが、気にしていません。それどころかあわよくば転職してしまおうと思っています。

自分の能力のことを信じています。信じないとしても何一つ得する事はありません。だったら信じてた方がよほどいい事が起きると思います。

 

この方法に特別なやり方はありません。よくある心理療法のように自分を分析する必要はありません。

悲観的な考えや不安が出て来たらそれを一切否定することです。失敗した時のことは考えてはいけません。失敗したらその時に対処法を考えればいいのです。

やってみればわかりますが、根拠の無い自信を付けるのは難しいです。少しでも気を抜くと不安や悲観的な考えがムクムクと起き上がって来て自分を覆い尽くしてしまいます。

たネガティブな気持ちに支配されている間の時間は何一つ価値はありません。そんなものはさっさと振り払って自分を信じ、少しでも先に進む事を考えるべきです。

 

根拠の無い自信を付けて愛すべき勘違い野郎になりましょう。

男性は気になる女性に「俺は絶対ビッグになってやる」と言いましょう。女性は朝起きたら鏡の前で「私は女優」とつぶやくのです。

そしてほとんどのことを自分の都合のいいように考えましょう。異性が自分のことをチラ見したら自分に気があるんだなと思ってください。

そうすることで良い事は起きても、悪い事が起きることはまずありません。