新たなる希望 〜神経炎症仮説〜
うつ病の原因について新しい仮説があるのを知りました。その仮説は「神経炎症仮説」と呼ばれています。そこにたどり着いた経緯による所もありますが、私はかなり信憑性があると考えています。
働きは、免疫、炎症に関係したものが多く知られるが、細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒など作用は多様(多面的生物活性)であり、異構造のサイトカインでも共通活性を示すことがある(重複性作用)。さまざまな細胞内シグナル伝達経路を経て、細胞のDNAやRNA変異やタンパク質合成のパターンを変化させ、細胞の働きを変えるが、解明されていない部分が非常に多い。
基本的にサイトカインは免疫や炎症など病気や怪我を治癒するためのシグナルを発生するのです。
そして。。
サイトカインはわかっているだけでも数百種類あるのですが、論文中ではサイトカインに分類されれるTNF、インターロイキン、インターフェロン、ケモインカンが免疫細胞の活性化という仕事だけでなく脳にも作用してうつ病を引き起こしていると主張しています。
そしてすでにこの論文を応用したうつ病を診断する技術の特許が取られています。
Patent WO2012049864A1 - うつ病の診断のためのデータの提供方法 - Google Patents
二つ以上のサイトカインの組み合わせとその濃度によってうつ病を患っているか判定するという特許です。これまでは情緒的な心理テストや主観的な精神科医の診断でしかうつ病かどうか認定されなかったのですが、この特許をとった技術が正しければ科学的な判定が可能になります。
(しかしこの技術はあくまで特許を取っただけで、医学的に正しいと認められたわけではありません。)
そういえば私が以前に日本女子医大に診察をしてもらいに行った時に、臨床試験への参加を求められたことを思い出しました。その時にうつ病は血液中に炎症物質が多く発生している可能性があるので、定期的に血液検査をさせて欲しいと医者は言っていました。当時私はただうつ病を治したい一心だったので、実験に参加する気にはなれずに断ったのですが、すでに「神経炎症仮説」は精神医学界で騒がれていたのだと思うと、大事なものを素通りしてしまったという残念な気持ちになります。
そしてここで改めて、これまでのほとんどの向精神薬の基礎となっている「脳内化学物質の不均衡説」が嘘である可能性が高いことがわかります。
「神経炎症仮説」が正しいとするとこれまでの化学的不均衡説に乗っかっていた精神科医や製薬会社は不都合なのです。調べていると必死に「神経炎症仮説」と「化学的不均衡説」を結びつけようという形跡が見られます。それらの言い分はサイトカインの増加によってセロトニンやノルアドレナリンが減少すると言っているのです。
呆れて物が言えないですね。。
しかし敢えて言及しますと、もしそのつながりが正しいとしても、これまでの精神医学は対処療法しかしてこなかったことを認めることになります。なぜならセロトニンやノルアドレナリンを向精神薬で増加させたとしても、サイトカインの増加を抑えない限り、いつまで経ってもセロトニンやノルアドレナリンは減り続けるのです。それって素人が見ても明らかに間違ったやり方ですね。
大事なのは向精神薬を飲む事でも無く、はたまたサイトカインを抑える薬を飲むでも無く、サイトカインを発生させるメカニズムを押さえ込まなくてはいけないのです。。
ところでサイトカインはなぜ脳に作用するのでしょうか?
そのことについてはまた別のエントリで触れたいと思います。