なぜサイトカインはうつ病をを引き起こすのか
なぜサイトカインは脳に作用してうつ病を引き起こすのでしょうか?
私にはまだ医学的なこと、化学的なことはわかりません。しかし生物学的な視点から考えればなぜそのようなことが起きるのか説明がつきます。あくまでも私なりの仮説なのですが外れてはいないんじゃないかなと思います。
人間の脳の仕組みは石器時代、さらにはその前から大して変わっていません。これは生物学的に常識として知られています。
では人間の祖先である原人が怪我や病気になった時に彼らはどうしていたのでしょう?今と違って当時は野獣がうようよしていて原人がその餌食になるのも珍しくありません。
そういった時に原人は無意識のうちにサイトカインを生成して脳に作用し、活動を低下させます。全ての興味を失わせ、体が動かなくなるようにします。美味しそうな食べ物など興味が引く物があっても、それらへの関心を失わせます。うっかり寝床から出てしまい、敵に遭遇してしまうと万全でない体で闘わなければいけません。そういう事態は避けなければいけないのです。
そのため脳への作用は無意識下で行われます。自分でコントロールできてしまうと欲求を抑えられず、うっかり外に出てしまうかもしれません。じっと住処の奥に横たわることで自らの体を休めることを強制するのです。
また常に敵の脅威を感じる場合は不眠にさせ、危険が去るまで周りを監視するように仕向けます。
これらの機能は危険な石器時代を生き抜くには合理的な仕組みと言えます。
しかしこの仕組みは極めて安全となった現代社会でも機能しています。安全となったとは言え、病気や怪我の時は体を休める必要があるのです。風邪を引いた時に頭が重くなり、体がだるくなるのはそのせいです。風邪が治ればサイトカイン生成をやめる完了条件が満たされて、サイトカインの生成が止まり、脳への作用も終わります。
ところが困ったことに、この機能は場合によって誤作動するようです。
仕事とはいえやりたくないことを強制的にやらされて将来を悲観したり、パワハラやいじめなどに遭い群れから追放される恐怖を味わうと人間の脳が今は危険な状態だと誤判定します。人間関係のストレスが脳の誤作動を引き起こすのです。
そうすると危険な状態が去るまで、自分を寝床に留まらせるために体がサイトカインを生成します。そして脳に作用します。原人だった時と同じように。興味を失わせ、体に命令が行き渡らないようにします。体を重くさせ、寝床から簡単に起き上がれないようにします。危険な状態が終ったと判定できるまでそれは続きます。
しかしこの場合は病気や怪我などと違って、体が危険は去ったという完了条件を認識するのが難しいです。人間関係のストレスは多くの場合、長期に渡ります。また自分自身を責めるタイプの人であれば自らストレスを課し続けることもあるでしょう。
そうするとサイトカインの生成は止むことなく脳に作用し続けます。何らかの形で危険は去ったというシグナルを脳に送らなければ、誤作動は収まらないのです。
うつ病を治すには自分は安全な状態であると認知させ、サイトカインの生成をやめさせる必要があるのです。
その方法についてはまた別のエントリで述べたいと思います。