元うつ病患者のふり返り日記

うつ病で会社を9ヶ月間休職した後に復職を果たしました。そんな筆者がうつ病や精神医学についてふり返り考察します。完治に至った闘病記もごらんください。http://snailramp.net/depression/

うつ病は無くなる?慢性疲労症候群(CFS)

最近は本当に激務でなかなかこちらのブログに時間を割く事ができません。それでも僅かな時間を見つけてはうつ病の原因の新しい仮説、神経炎症仮説について調べています。

 

hal-007.hatenablog.com

 

そして最近になって慢性疲労症候群(CFS)という病気があるのを知りました。そしてその原因についてあのSTAP細胞で一躍有名になった理研が論文を発表していることも合わせて知りました。

慢性疲労症候群と脳内炎症の関連を解明 | 理化学研究所

理研が2014年4月に発表した論文になります。 ぜんぜん話題にもならなかったので今まで知る事もありませんでした。

 

慢性疲労症候群とはなんでしょうか?以下は上記のページからの引用ですが、症状からするとほぼうつ病と変わりが無いように見えます。

これまで健康に生活していた人が、ある日突然、極度の疲労により半年以上も正常な社会生活が送れなくなる慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎(CFS/ME)は、通常の診断や従来の医学検査では身体的な異常を見つけることができず、治療法も確立していません。原因として、感染症を含めたウイルスや細菌感染、過度のストレスなど複合的な要因が引き金となり、神経系、内分泌系、免疫系の変調が生じて、脳や神経系が機能障害を起こすためと考えられていますが、その発症メカニズムは明らかになっていません。そのため、患者は家庭や職場、場合によっては受診した医療機関においてさえも、怠けているだけという偏見をもたれることも少なくありません。

 症状はうつ病と同じなのに、慢性疲労症候群という新しい名前の病気として分類されているのはなぜでしょう?

とりあえずそれは置いておいて、理研慢性疲労症候群の原因は何だと言っているのか見てみます。次も前述したページからの抜粋です。

PET検査の結果では、患者の脳内では主に、視床、中脳、橋、海馬、扁桃体や帯状回という部位での炎症が増加しており、健常者と比べて有為な差があることが分かりました(図1、図2)。さらに、各脳部位における炎症の程度とCFS/MEの各症状には相関があり、視床、中脳、扁桃体での炎症が強い場合は認知機能の障害が強く、帯状回や視床の炎症が強い場合は頭痛や筋肉痛などの痛みが、また海馬での炎症が強い場合は抑うつの症状が強いことが明らかとなりました(図3)。これは、脳内の炎症が起こっている場所で脳機能が低下し、CFS/MEにおけるさまざまな症状を引き起こしている可能性を示唆します。

理研は脳内の炎症と慢性疲労症候群の症状には強い相関があると言っています。特に海馬の炎症は抑うつ状態を引き起こすようです。

 

海馬の炎症。。うつ病になった人からわかるのですが感覚的にはちょっとしっくりこないです。うつ病の人のコメントとして「頭が重い」、「頭の中が常にぐるぐる回っている」、「気力がわかない」というものが多いですが、その症状と病理が感覚的に一致しないです。むしろ悪名高いモノアミン仮説が言う神経伝達物質がうまく流れていないと言う方がフィットする気がしてしまいます。

でも理研はそういったこれまでの全く生化学的でない説とは違って淡々とその実験結果で脳の炎症と症状の相関を証明しています。

 

現代科学(化学)ってのはやはりこうでなくてはいけません。

 

ところで私がいままで見聞きしてきた神経炎症仮説はこれらの炎症の原因についてはサイトカインだと言うものが多かったですが、理研はさらにサイトカインを生成するのはマイクログリアやアストロサイトという物質の活性化が影響している指摘していて、それらの物質の活性化状態を可視化することを試みた模様です。

サイトカインですら主原因ではなくグリア細胞が脳の炎症を引き起こす原因だということがわかってきました。グリア細胞アルツハイマーとの関係も指摘されています。もっと研究が進んでうつ病慢性疲労症候群アルツハイマー、そして恐らく認知症も、治るきっかけになればいいなと思います。

 

このブログで紹介している東洋はり医学会の鍼治療がうつ病に効いているのだとしたら、アルツハイマー認知症にも効果がある可能性は十分にありますね。元々そういったことを考えてはいましたが、この理研の実験結果を見てますますその可能性を感じずにはいられません。

 

さてなぜ症状がほとんど同じなのにうつ病慢性疲労症候群は病気として分けられているのでしょう?

私の想像ではこれは単なる縄張り争いのためなのではないでしょうか?うつ病は精神医学界の縄張りなのですが、脳や神経科の専門家はうすうすうつ病は心の病気では無く、脳や神経系の病気だと気づいています。そして精神科の専門家もそれをうすうす気づいています。

しかしまだはっきり慢性疲労症候群の原因が解明されたわけではないので、うつ病との比較もできません。そもそもうつ病は生化学的に何も証明はされていないので比較すら永久にできないでしょう。

私の予想では脳や神経科の専門家によって慢性疲労症候群の病理の解明が進み、外堀が埋められていくとうつ病という病気自体が無くなっていくのではないのかと思います。

うつ病は実は心の病気ではなく脳や神経の病気でした。。とは精神科の専門家は口が裂けても言えません。これまでの向精神薬はいったい何だったのか、説明することができないからです。

 

しかしその時は近づいている気がしてなりません。