元うつ病患者のふり返り日記

うつ病で会社を9ヶ月間休職した後に復職を果たしました。そんな筆者がうつ病や精神医学についてふり返り考察します。完治に至った闘病記もごらんください。http://snailramp.net/depression/

うつ病における炎症の役割

もう新年度ですね。桜ってのは本当にきれいです。

 

最近日本語の情報ではうつ病と炎症の関係についての話題が見られなくなってきました。

神経炎症仮説は間違っていたことが証明されてしまったのか。。と不安になったので英語で検索してみました。

 

キーワードは「depression」(うつ病) と「inflammation」(炎症)です。 

 

ググってみると・・ありました!

権威の高いnature誌に2015年12月29日付で関連しそうな論文が掲載されていました。けっこう新しいですね。

 

The role of inflammation in depression: from evolutionary imperative to modern treatment target : Nature Reviews Immunology : Nature Publishing Group

 

タイトルをgoogle翻訳してさらに意訳すると「うつ病における炎症の役割:進化における必要性から近代的な治療ターゲットへの変化」といったところでしょうか。

 

内容についてもgoogleさんに翻訳してもらいました。かいつまむと次のようになります。

 

  • 人間の進化の過程において炎症反応や抑うつ症状は病気や傷を癒すのに重要な役割を担っていた。病気になった時に弱った体を外敵にさらさないための適応能力の一部であった。しかしそういった炎症反応は現代社会においては抗うつ薬が効かないうつ病の原因と見られる。
  • うつ病患者の炎症性サイトカインの活性化レベルが高いことは炎症マーカーの上昇によって確認されている。
  • ストレス性、非病原性の刺激によってインフラマソームの活性化は、脳に伝達されて脳周辺の炎症反応を引き起こす。
  • 炎症の影響によってセロトニンドーパミンなどの脳内の神経伝達物質が正常に動作しなくなる。
  • うつ病における研究では炎症性バイオメーカーによって炎症とうつ病の関連性が試験されている。今後もうつ病を抗炎症治療で治す方法は模索されていく。

 

「人間の進化の過程において炎症反応や抑うつ症状は病気との傷を癒すのに重要な役割を担っていた。病気になった時に弱った体を外敵にさらさないための適応能力の一部であった。」といったところはまさに自分が以前のエントリで述べていたのと同じことですね。やっぱりそもそもうつ病は体の防衛機能の一部だったものが誤作動したのです。

 

hal-007.hatenablog.com

 

炎症反応はインフラマソームというものによってコントロールされているようなので、今後はなぜストレスなどによってインフラマソームが刺激されてしまうのか研究されていくのでしょうね。

でも素人ながら思うのは、肉体的、精神的ストレスは病原体とそんなに変わらないですよね。 ストレスによって体が危険だと判断するのは当たり前だと思います。体は自分を守るのが第一なので、それでインフラマソームが刺激されて炎症が発生し、うつ病になってしまうのです。

やはりストレスを感じたら逃げるが一番ですね。変に忍耐強いと炎症が強くなっていきそうです。

 

論文の文脈からするともしインフラマソームの活性化を抑えることができれば、うつ病は治るということでしょうか。研究の続きが待たれるところです。

ちなみにこの論文の参考文献を見ると多くの資料が掲載されているので、神経炎症仮説はまだまだ有力なのだと思いました。