向精神薬の添付文書を読みましょう
皆さんは添付文書をご存知でしょうか。
薬には仕様を明記した文書を付ける事が薬事法で義務づけられています。それが添付文書です。
医師や薬剤師用の資料ではありますが素人が読んでも大部分は理解することができます。
このブログではこれまで向精神薬を紹介する時にはwikipediaやその辺に転がっているページを引用してきしたが、正式な仕様は添付文書に記載されていますのでそちらも紹介しておくべきでした。
今では添付文書はインターネットで読む事ができます。例えばパキシルの添付文書が読みたければ「添付文書 パキシル」で検索してみてください。すぐに見つかると思います。
読んでみると向精神薬の添付文書はだいたい怖い事が書いてあるんですよね。特に使用上の注意の項目には。次のものはパキシルの使用上の注意の抜粋です。
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
3.脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
4.衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
大抵の精神科医はこの辺の使用上の注意の説明はしないと言われています。説明しちゃうと怖くて飲んでもらえなくなっちゃいますから。自分の担当医からも添付文書に基づいた説明は一切ありませんでした。
でも自分の身は自分で守らねばならないので、飲んでいる向精神薬があれば一読しておくといいでしょう。
添付文書の「臨床成績」には臨床試験でどのくらいの効果が認められていたのか書かれています。また「副作用」にはどのような副作用がどのくらいで発現するのか記載されています。
例えば私が飲んだ事がある「アナフラニール」は臨床成績での有効率は57.6%で、副作用が発現する可能性は34.3%です。
私にとって「アナフラニール」は全く効果はなく、便秘(麻痺性イレウス)の副作用が発現しました。
この薬が有効でない確率は42.4%で麻痺性イレウスの頻度は不明ですが食欲減退として扱うと3.9%です。つまり私のような状況になる確率は
約16% = 0.422(薬が効かない確率) × 0.039(食欲減退の確率)
です。
結構低い確率にあたってしまったんだなぁと思います。
ついでなので自分が飲んだ他の薬についても調べてみます。
「テトラミド」
・薬の効果はなく激しい傾眠の副作用が発現
約2% = 0.422(薬が効かない確率) × 0.05(ねむけが起きる確率)
「ジェイゾロフト」
・薬の効果はなく、頭痛などの神経系の副作用が発現
約2% = 0.433(薬が効かない確率) × 0.05(神経系の副作用が起きる確率)
「リフレックス」
・薬の効果はなく激しい傾眠の副作用が発現
臨床成績の見方がよくわからず算出できず。
「デジレル」
・薬の効果はなく、興奮の副作用が発現
1%以下 = 0.48(薬が効かない確率) × 0.001(興奮等精神系の副作用が起きる確率)
どれもこれもずいぶん低い確率に当たってしまったんですね。
あれ?
これらの現象が同じ人に起きる確率ってのはどのくらいなのでしょうか。「リフレックス」は計算できなかったので抜きます。
計算してみると・・・0.000064%です。
いや〜自分はよほど運が悪かったのでしょう。
よくよく考えてみるとほとんどの向精神薬の効果率は50%強なので、75%のうつ病患者は最初に処方された薬で効果が出なくても2番目に処方される薬で効果を得られるはずです。
しかし現状はどうでしょう?増え行くうつ病患者数の統計を見ているととても薬が効果が発揮しているとは思えません。むしろ副作用で苦しんでいる人の方が多いように思えます。
添付文書の仕様で厚生労働省の認可がおりているはずですが、本当に正しいデータなのでしょうか。
そういえばこんな事件もありました。
ノバルティス元社員逮捕 臨床データ改ざん容疑否認 :日本経済新聞
安易な陰謀論には加担するつもりはありませんが、こんなのは氷山の一角なのでは、と思ってしまいます。